抗うつ薬による抗不安効果

抗うつ薬抑うつ症状より不安症状の軽減に効果あり?

服用6週間で抑うつ症状が21%減

 

 抗うつ薬セルトラリン(日本での商品名ジェイゾロフト)を使用した人の多くは、以前よりも気分が良くなったと報告する。しかし、こうした効果は、抑うつ症状ではなく不安症状を軽減する同薬の作用によるものである可能性が高いことが、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)疫学精神医学教授のGlyn Lewis氏らが行った臨床試験により明らかになった。

 Lewis氏らは、対象者の半数をセルトラリンを12週間使用する群に、残る半数をプラセボを使用する群に割り付けた。セルトラリンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)と呼ばれる抗うつ薬の一つである。対象者には、試験開始から2、6、12週間後に質問票を用いた抑うつ症状の評価を行い、全般性不安障害のスクリーニングも実施した。

 その結果、試験開始から6週間の時点では、セルトラリン使用群では抑うつ症状は5%しか軽減しておらず、統計学的に有意な効果は示されなかった。それに対し、不安症状は6週間後に21%軽減し、12週間後には23%軽減した。

 抑うつ症状に対しても、12週間後にはセルトラリンの効果が現れることが示唆されたが、Lewis氏らはその効果は弱いものだとしている。ただし、同氏らは、抑うつ症状を抱える患者のほとんどに不安症状もあることを指摘。また、セルトラリンを使用した患者は、精神面に関連した生活の質(QOL)の大幅な改善も実感していたという。

 今回の報告を受けて、専門家の一人で米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のTurhan Canli氏は、「結局のところ、広く使用されている抗うつ薬の多くは、抑うつ症状に対してそれほど効果がないのかもしれない。しかし、この試験ではセルトラリンによって不安症状の軽減やQOLの向上が確認されており、特に不安症状を抱えている患者では同薬が有益である可能性がある」と話している。

 

不安や不眠を訴える患者さんはたくさんいらっしゃいますが、安定剤や睡眠薬を使いがちです。

これらは一時抑えでしかなく、対症療法なので本質的に改善することにはなりません。

根本的にはSSRIなどの抗うつ剤で不安を取ってあげる方が急がば回れで、良くなるのかもしれません。

不安が持続することで減るセロトニンを早めに抗うつ剤で元に戻してあげるのがいいのでしょう。

本当のうつ病の患者さんはSSRIでは改善しないことは、よく経験します。

うつ病の患者さんは減っているアドレナリンを増やしてあげる薬がよさそうです。