認知症予防

軽い運動でも認知症の予防につながる?

1時間の低強度運動で脳年齢が1歳若返る

 

 軽い運動を習慣的に行うと、アルツハイマー病や認知症の発症を予防できる可能性があることが、米ボストン大学医学部のNicole Spartano氏らの研究で明らかになった。身体活動ガイドラインで推奨される週150分の強めの運動を行わなくても、軽い運動を1時間行うごとに脳年齢が1歳ほど若返ることが示されたという。この研究結果は「JAMA Network Open」4月19日オンライン版に発表された。

 この研究は、米マサチューセッツ州フラミンガムの住民を対象とした「フラミンガム心臓研究」に参加した成人2,354人を対象としたもの。活動量計を用いて参加者の身体活動量を測定し、脳MRIで評価した脳容積との関連を調べた。参加者の平均年齢は53歳で、約54%は女性だった。

 2018年の米国の身体活動ガイドラインでは、健康を保つためには中強度~高強度の身体活動を週に150分以上行うことが推奨されている。なお、今回の参加者のうち、ガイドラインが推奨する身体活動量を満たしていたのは全体の46.7%であった。

 分析の結果、1日の歩数が多い人ほど、あるいは低強度の身体活動量が多い人ほど脳容積は大きいことが分かった。1日に平均1万歩以上歩く人では、平均5,000歩未満の人と比べて脳年齢が1.75歳若く、また、低強度の身体活動が1時間増えるごとに脳年齢は1.1歳若返ることも明らかになった。

 さらに、ガイドラインで推奨される身体活動量に達していない人では、低強度の身体活動が1時間増えるごとに脳年齢は1.4歳若返り、また、1日に7,500歩以上歩く人では、それ以下だった人と比べて脳年齢は2.2歳若いことも示された。

 

適度な運動は体にも脳にも良いことがわかりますね。

いろいろな用事を見つけて、よく動く事、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用すること。

理想は朝夕と1時間ずつ運動できればいいですね。

肺がん検診

肺がん検診の現場で注目される「低線量胸部CT」の最前線<特別対談>医療は自分で選ぶ時代へ─

 

日本人男性の死因第1位であるがんのなかでも、最も死亡数が多いのが、肺がんだ。その早期発見に有効と考えられるのが、被ばく線量の少ない低線量胸部CTの活用である。画像診断に精通した医師2人が、肺がん検診の最新事情を語り合った。

世界の肺がん検診は胸部CTが主流

福田国彦(ふくだ・くにひこ)
学校法人慈恵大学
名誉教授

1977年東京慈恵会医科大学卒。同大学放射線医学講座助手、英国St. Thomas’Hospital放射線科名誉臨床助手などを経て、98年から2016年まで東京慈恵会医科大学放射線医学講座講座担当教授。

【楠本】日本では肺がん検診に胸部X線(レントゲン)と喀痰細胞診を推奨していますが、胸部X線では早期の肺がんを見つけるのはなかなか難しいといわざるをえません。通常、胸部X線では正面、側面から1、2枚しか撮影しないため、臓器の重なりで見えない部分が生まれますし、小さな肺がんも検出しにくいのです。

【福田】肺がんは早期には症状が出づらいので、症状が出てから発見された場合には、進行していることが多いです。ステージⅠであれば5年生存率は約82%ですが、ステージⅡではリンパ節への転移が起こっており5年生存率は約48%に落ち込みます。少しでも早く見つけるには、胸部CTが有効だと考えています。

【楠本】世界的にも、肺がん検診は低線量CTが主流になっていますね。断層画像なので臓器の重なりによって隠れる部分がなく、画像の精度が高い。そのため小さい肺がんを発見しやすいというのが、導入の理由でしょう。さらに、欧米では胸部CTによって肺がんを見つけることで、より長生きできるかという視点で研究が行われています。2011年ごろから低線量胸部CTの有効性を示す研究結果が発表されていますね。

胸部X線画像(左)と、胸部CT画像(右)。CTで撮影した胸部画像のほうが鮮明で、臓器の重なりがないため、小さな病変を早期に見つけやすい。
画像提供:シーメンスヘルスケア株式会社

【福田】日本国内でも、喫煙歴などのリスクにかかわらず市民約3万3000人を対象にCT検診群と胸部X線検診群に振り分けて観察した結果、CT検診群で肺がんの死亡率が51%減少したという結果が出ています。喫煙者の方は肺がんのリスクが高いことは知られていますが、非喫煙者にも肺がんは起こります。この調査結果は、そういった方の早期発見にも胸部CTが役立つことを示しています。

【楠本】喫煙者、非喫煙者によらず、50代からはがん検診に関心を寄せていただきたいですね。早い時期に見つけたほうが治療の選択肢が増えます。

最新機種の被ばく線量は従来の50分の1に低減

楠本昌彦(くすもと・まさひこ)
国立がん研究センター中央病院
放射線診断科 科長

1986年神戸大医学部卒、92年同大大学院修了後、同大医学部附属病院放射線科に勤務。98年から国立がんセンター中央病院に勤務。2014年から同センター東病院の放射線診断科科長。18年から現職。

【楠本】CT検査の課題は、X線に比べて費用がかかり、被ばく線量が多いことでした。ただちに大きなリスクにつながるわけではありませんが、より精度が高く、被ばく線量が低い検査が望ましいのはいうまでもありません。最近ではCT装置の改良が進み、肺がん検診においては従来の20分の1程度にまで被ばく線量を下げても、精度を落とさずに胸部CTを実施できるようになりました。

【福田】近年開発された多くのCT装置は、検査を受ける方の体の厚みや検査部位に合わせて線量を最適化したり、収集したデータから画像の再構築の精度を高めるなどの技術によって、低線量化を実現しています。さらに最近は、画像に貢献しない低エネルギーのX線をカットする特殊なフィルターも開発されています。このフィルターを搭載した最新鋭のCT装置は被ばく線量が従来の50分の1、胸部X線とほぼ同等にまで下がっています。

【楠本】体を透過したX線を捉える検出器の進歩もありますね。より低線量でも、鮮明な画像がつくられるようになっています。しかしどれだけ機器が進化しても、すべての早期がんを発見し治療できるわけではない──こうした側面も知られるべきだと思います。CTは高精度であるがゆえに、がんではない小さな病変まで見つけてしまうという課題もあります。非常に小さな病変では、それががんなのか、良性なのかの判断が難しい場合もあります。また繰り返し検査をすることは、患者さんの経済的な負担はもちろんですが、精神的にも負荷が大きいと感じます。

症状のない早期がんの発見は自分で動くしかない

【福田】おっしゃるとおりです。がん検診は万能ではありません。リスクとベネフィットを正しく知ったうえで、患者さんご自身が選択することが大切です。また、低線量の最新機器であっても、そのポテンシャルを最大限に引き出すには人の力が必要。医療サービス側が教育や研修体制を整えて、CTによる撮影線量の管理に留意していかなければならないでしょう。

【楠本】アメリカでは患者情報を匿名化したうえで、どのような検査をしたのか、自動的に情報収集するシステムがあります。対して日本ではX線検査やCT検査による撮影線量の管理は、各病院や検診施設に任せられている状況です。

【福田】日本では病院と定義される医療機関の多くにCT装置が導入されていますが、個々の医療機関の設備がどこまでの能力を備えているのかなどを集約したデータはまだありません。まずは各医療機関の実態を把握し、情報開示を始めることが第一歩です。

【楠本】検査を受ける方ご自身が検査で受ける被ばく線量をチェックしていくことも、現実的な対応策になるでしょう。例えば人間ドックで胸部CT検査を受けている方は、受診施設で「今回受けるCT検査は、どのくらいの被ばく線量ですか」と担当者に直接聞いてみて、被ばく線量について具体的に数字を挙げて的確に答えられる医療機関は、線量管理ができていると思います。また、高精度の低線量CT装置を導入していることをホームページなどに掲載している施設もあります。検査を受ける方が被ばく線量などの正しい知識を持っておけば、判断材料が増えると思います。

【福田】症状のない早期がんは、従来の医療サービスの領域では発見できません。つまり、がんの早期発見は、ご自身が積極的に動いていくしかないのです。かかりつけ医の先生と相談をして、自分に合った最適ながん検診のプログラムを立てて、実行していただきたいと思います。さまざまなデータが実証しているように、がんの早期発見は健康寿命を延ばし、豊かな人生を支えるものなのですから。

 

レントゲンによる肺がん検診は見落としが多いことがあります。

低線量CTをうまく使って検診しましょう。

時間も数分で済みます。

ご相談下さい。

がん生存率

がん10年生存率、56.3%に 早期の乳がんは9割超

 

ビタミンCと筋肉の関係

骨格筋のビタミンC不足で筋萎縮や身体能力が低下

 

  東京都健康長寿医療センターは3月22日、骨格筋でのビタミンC不足は、筋萎縮や身体能力の低下をもたらすことを明らかにしたと発表した。この研究は、同センターの石神昭人研究部長、船越智子技術員、谷津智史非常勤研究員、滝沢晶子連携大学院生らと、東邦大学の永田喜三郎教授、首都大学東京の相垣敏郎教授、順天堂大学の町田修一教授らと共同で行われたもの。研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」電子版に、3月20日付で掲載された。

 標準的な男性や女性の骨格筋量は、体重の30~40%を占めるとされ、骨格筋にはビタミンCが多く存在している。同研究グループは、以前に東京都板橋区在住の70~84歳の高齢女性を対象とした横断調査により、血漿ビタミンC濃度の高い高齢者女性は、握力、開眼片足(片足で立っていられる時間)、通常歩行速度などの筋力や身体能力が高いことを報告していた。一方で、逆に血漿ビタミンC濃度が低い場合に筋力や身体能力が低下するのかは未解明だった。

 今回の研究では、ヒトと同様に体内でビタミンCを作れないビタミンC合成不全マウスを用いて、血漿や骨格筋のビタミンCが減少すると骨格筋にどのような影響があるかを詳細に調べた。具体的には、雌のビタミンC合成不全マウスをビタミンC投与群と非投与群の2群に分け、投与4、8、12、16修吾に腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋などの骨格筋の筋重量を定期的に測定した。その結果、ビタミンC不足期間が長くなると筋肉を構成する筋線維が細くなり、筋重量が減少し、再びビタミンCを与えると回復することが判明。また、筋力や自発的活動量などで評価した身体能力も同様にビタミンC不足期間が長くなると低下し、再びビタミンCを与えると回復したという。

 この研究により、ビタミンC不足は、骨格筋の萎縮や身体能力の低下をもたらすことが明らかとなった。また、ビタミンCの再投与により回復できることも判明した。ビタミンCは手軽に摂取できる食品成分であるため、今回の研究成果は、筋肉でのビタミンCの機能解明に大きく貢献するものと期待される。

 

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サルコペニアという虚弱状態も筋肉の衰えを表しています。

寝たきりにならないように、たんぱく質の摂取、適度な運動に加えて、ビタミンCの摂取もよさそうです。

ビタミンCは果物や野菜に含まれていますし、足りなければサプリを上手に摂りたいですね。

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