その長引く咳はストレスのせいかも

外来診療で、「風邪を引いたわけでもないのに、咳だけが長く続いて止まらない」という患者さんのご相談は非常に多いです。各種検査で器質的な(物理的な)異常が見当たらない場合、私たちは「心身一如(心と体はつながっている)」という東洋医学の基本概念に立ち返ります。

西洋医学の視点では、慢性的なストレスは自律神経のバランスを崩し、気道を過敏にすることが知られています。これは医学的には「気道過敏性亢進」に近い状態と考えられます。

一方、東洋医学(漢方)の視点では、今回の画像にあるように、ストレスによって体内をめぐる「気(エネルギー)」が滞り(気滞)、その行き場を失った気が、肺の正常な機能を妨げて逆流する(気逆)ことで咳を引き起こすと考えます。

  • 「梅核気(ばいかくき)」: のどに異物が詰まっているような違和感があり、咳払いをしても何も出ない、飲み込もうとしても飲み込めないタイプ。プレッシャーを抱え込む真面目な方に多く見られます。

  • 「気逆(きぎゃく)」: イライラや極度の緊張など、心の発散が滞ったときに突き上げるような咳が出るタイプ。

このように、ストレスが原因の咳は、「気」の調整が滞っているという、あなたの体からの重要なSOS信号です。

画像にあるように、当院では単なる咳止めの処方ではなく、「滋陰降火湯(じいんこうかとう)」「神秘湯(しんぴとう)」など、患者さん一人ひとりの「気の滞り方」や「心身の状態」を多角的に診察し、最適な漢方薬を選定しています。

「たかが咳」と我慢したり、「心の弱さ」と責めたりしないでください。まずは、体が休養を求めていることに気づき、自分自身を労わってあげてください。いつでも、あなたの心身に寄り添った診療を心がけております。